2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能スピン分解光電子分光装置の建設と低次元ナノ電子系の微細電子構造の研究
Project/Area Number |
07J02951
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 克明 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 角度分解光電子分光 / Bi薄膜 / グラファイト層間化合物 |
Research Abstract |
これまで低次元ナノ電子系は、金属絶縁体転移、スピンパイエルス転移、超伝導転移など興味ある研究がなされてきた。現在ではこれらの特異物性のみならず、ナノスケールにおけるデバイスへの応用、さらには新たなスピンの自由度を応用したスピントロニクスの分野として精力的な研究がなされている。そのため、ナノスケールの試料を独自に作成し、それを電子状態の立場から試料評価し、さらには電子状態から判明される新たな特異物性を明らかにする上で、スピンの情報を得る事が可能となる「超高分解能スピン分解光電子分光装置」の建設が重要である。 本年度は、高分解能角度分解光電子分光装置に設置できるコンパクトサイズの高感度小型モット検出器の建設・設置を行った。この小型モット検出器を用いることによって、スピンの情報を得る事が可能となる。設置当初、小型モット検出器内部において放電によるノイズの増加の問題が発生したが、その内部構造や光電子検出部の改良を行い、ノイズの問題を解決した。また、小型モット検出器の調整のために、建設した試料作成装置を用いて新たにSi半導体表面上でV族半金属Bi薄膜作成を行った。その結果、非常に良質なBi薄膜の作成に成功し、薄膜の厚さをナノメータスケールで制御する事を可能にした。この表面を用いて、現在も引き続き超高分解能スピン分解光電子分光装置の調整を行っている。また前年度から、スピントロニクスへの応用が期待され始めたグラファイトの研究に着手しており、本年度では、磁性/超伝導といった様々な物性制御が行えるグラファイト層間化合物の研究を行った。その結果、超伝導転移を示すグラファイト層間化合物において、超伝導転移に重要な役目する電子は層間電子であることを光電子分光で明らかにした。
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Research Products
(9 results)