2007 Fiscal Year Annual Research Report
重希土類元素化合物における低エネルギー磁気励起と量子相転移の解明
Project/Area Number |
07J02990
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 綾 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 重い電子系 / 量子臨界現象 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
重希土類原子を含む化合物が、そのf電子の強い電子相関によって局在-非局在転移転近傍に見られる多様で興味ある物性の本質を明らかにする目的で、以下の2つの系において、核磁気共鳴(NMR)および核四重極共鳴(NQR)実験により微視的に研究した。それぞれの結果に関し以下の結果を得た。 1)YbAuCu_4における磁場誘起の量子臨界点近傍におけるスピンゆらぎと価数ゆらぎ Ybイオンが非整数の価数(n_f〜0.95)をとる重い電子系反強磁性体YbAuCu_4を研究対象に,55mKの極低温までの電気抵抗、80mKまでのNMR/NQR測定を0磁場から110kOeの磁場下において測定した。その結果、〜13kOeの磁場下で準粒子の有効質量の発散的増大を見出し、磁場誘起量子臨界点の存在を微視的に明らかにした。またNMR/NQR測定により、新たにYbAuCu_4の量子臨界磁場付近で近藤温度と価数転移温度が交差し,スピン効果と価数転移が競合していることを見出した。磁気臨界点付近で価数転移温度が急激に減少し0Kにアプローチすることから、絶対零度でのスピン相関の発達が価数揺らぎによって抑制されることが異常な量子臨界性の原因であることを指摘した。 2)RFe_4Sb_<12>における強相間電子物性とラットリング,および,それらに及ぼす充填率の効果 高圧下の合成により作成された:希土類元素の欠損のない充填スクッテルダイト化合物YbFe_4Sb_<12>とLaFe_4Sb_<12>を用いて、Sb-NQRおよびLa-NMRの測定を行った。その結果,YbFe_4Sb_<l2>は低温で非磁性の重い電子状態に転移、LaFe_4Sb_<l2>は低温まで常磁性状態にとどまることを微視的に明らかにした。これまでに,約90パーセントの充填率の物質を用いたNMR/NQR測定は基底状態がそれぞれ強磁性秩序と重い電子的であると報告しているが,本研究は,それらがYbあるいはLaの欠損がもたらす本質的でない振る舞いであることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)