2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相見 順子 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超分子化学 / 自己集合体 / ポルフィリン / ソルバトクロミズム / 不斉炭化水素 / キラルセンシング |
Research Abstract |
亜鉛ピリジルポルフィリン二量体からなる箱形集合体が炭化水素の不斉情報を認識できるという前例のない不斉認識システムの本質を探り、それを知見としたさらなる発展を目指し、下記のような戦略で研究を実施した。 【1】ポルフィリン箱形集合体のセンシングライブラリーの構築と空間制御 内部空間の大きさが異なる箱形超分子集合体を新規に設計・合成し、内部空間の大きさがキラルセンシングに及ぼす影響について詳細な調査を行った。その結果、テトラアルキニレンで架橋したポルフィリン二量体1は、様々な種類の不斉炭化水素の不斉情報に応答して誘起CDを与えるが、モノアルキニレン架橋の集合体は、π共役系の拡張による安定化から、アキラルな平面型集合体が支配的になり、キラルセンシングに応用できないことが分かった。そして、それらの中間のサイズを持つジアルキニレン架橋の集合体2は、溶媒の変化に敏感に応答し、直交・平面形構造のし好性を変化させることが明らかになった。 【2】ポルフィリン箱形集合体を用いたソルバトクロミズム 上記の発見を元に、2を用いて、溶媒による構造の変化について詳しく検討した。その結果い誘電率2.23-2.57の様々な低極性溶媒中において、2の直交形・平面形構造の比率は大きく異なり、それぞれ異なる溶液の色を示すという興味深い事実を見いだした。通常、低極性溶媒の違いを超分子化学的に認識することは極めて難しい。そのため分子認識化学の分野において、炭化水素はこれまで研究対象外とされてきた。自己集合体の構造が溶媒によって変化し、同時に溶液の色が変化するという本現象はい今までの常識を覆し、「ソルバトクロミズム」の新だな概念へと発展するものと考えられる。
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