2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相見 順子 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超分子化学 / 自己集合体 / ソルバトクロミズム / ポルフィリン |
Research Abstract |
亜鉛ピリジルポルフィリン二量体からなる箱形集合体が炭化水素の不斉情報を認識できるという前例のない不斉認識システムの本質を探り、それを知見としたさらなる発展を目指し、下記のような戦略で研究を実施した。 昨年度、ジアルキニレンで架橋した亜鉛ポルフィリン二量体ZnP2が、溶媒の変化に敏感に応答し、直交形・平面形のし好性を変化させることを見いだした。本現象を詳しく理解するため、直交形・平面形の安定性の違いをDFT計算(B3LYP/6-31G)により比較した(内山真伸先生(理化学研究所)との共同研究)。テトラアルキニレン架橋亜鉛ポルフィリン二量体ZnP4は、直交型と平面形のエネルギーの差が0.09kcal/molと無視できるほど小さかったのに対し、ZnP2では、平面形が0.59kcal/mol安定であった。この安定性の違いは、π共役による安定化の効果が大きく寄与しているものと考えられる。共役による安定化の寄与が大きいZnP2は、双極子-双極子相互作用の効果から、溶媒の極性によって直交・平面のし好性が異なる事が予想された。しかし、今回、極性の小さい炭化水素溶媒に対してもそのし好性が大きく変わる事が分かったことから、箱の構造の安定化には、溶媒分子が充填される内部空間の大きさが大きく関わって来ていると結論づけた。以上の結果をまとめ、論文として報告した(Angew.Chem.Int.Ed.,2008,47,5096)。
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Research Products
(4 results)