2008 Fiscal Year Annual Research Report
チオレドキシン還元酵素(TrxR)阻害剤としての合金による新規抗生治療薬の創製
Project/Area Number |
07J03038
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小俣 葉 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 健康工学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | チオレドキシン / 大腸菌 / 金属化合物 / チオレドキシン還元酵素 / 血球細胞 / 神経細胞 / GSTM / 亜鉛 |
Research Abstract |
私はこれまで、細菌類TrxRに着目し、これに対する抑制剤で哺乳類の酵素を抑制しないものがあれば、効果的な抗生物質になるという仮説の下に、細菌酵素の抑制剤について主に金属化合物に関する研究を重ねてきた。実際にE.coliのTrxRを用いたビトロ実験において細菌類TrxRとともに低濃度の各種金属化合物と基質を一定時間反応させることにより、Ni(II)、GSTM、AuTPP、Hg(II)、AFが各々の濃度でTrxRを抑制することが明らかとなった。そこで、抑制剤の抗生薬としての有効性を探るため、各種金属化合物を大腸菌とともに培養し、細菌増殖抑制能を評価した。その結果、GSTMのみが、ほかの金属化合物に比べ、哺乳類細胞に毒性のない濃度で、より高い細菌増殖の抑制を示した。さらに、GSTMの効能を探るため、神経細胞およびヒト血球細胞においてリポ多糖(LPS)による細胞毒性に対する効果をみたところ、低濃度のGSTMを24時間前処理することにより、その後のLPSによる細胞毒性が抑制される結果が示された。GSTMは現在も関節性リウマチの効果的な治療薬として用いられているが、その強い副作用により投薬を中断しなければならない場合が数多く発生する。この問題を解決するためにはやはりビボにおける実験が必要であると思われる。さらに生体内で高い抗酸化効果をもつ亜鉛に関しても着目し、これについても神経細胞に対しどのような効果をもたらすかを研究した。亜鉛不足がおこると神経の発達に大きく影響することがこれまでにわかっている。この原理もまた酸化ストレスによることから、亜鉛不足による酸化ストレス関連分子の変動について神経細胞を用いて研究を行った。神経細胞内で細胞死を引き起こさない程度の亜鉛不足が起こることにより、ヘムオキシゲナーゼとグルタチオンが誘導され、細胞を保護していることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)