2007 Fiscal Year Annual Research Report
チオレドキシン還元酵素(TrxR)阻害剤としての合金による新規抗生治療薬の創製
Project/Area Number |
07J03038
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小俣 葉 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ヒューマンストレスシグナル研究センター, 特別研究員PD
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Keywords | チオレドキシン / チオレドキシン還元酵素 / 金属化合物 / 抗生薬 / 阻害剤 / 金 / 細菌 / 酸化還元 |
Research Abstract |
TrxRはレドックス制御において必要不可欠な酵素の一つであり、還元型チオレドキシンはDNA合成に欠かせないため、癌細胞などの正常機能が破綻した細胞においては発現量が増大していることが確認されている。このためTrxRは、転写因子活性、遺伝子発現を調節するための核内レドックスバランスにもかかわるため、昨今非常に着目されている酵素である。私はこれまで、その全貌が明らかとなっていない細菌TrxRに着目し、この抑制剤で哺乳類の酵素を抑制しないものがあれば、効果的な抗生物質になるという仮説の下に、細菌酵素の抑制剤について調査を重ねてきた。実際にE..coliのTrxRを用いたビトロ実験において細菌類TrxRとともに各種金属化合物と基質のTrxを一定時間反応させることにより、Ni(II)、GSTM、AuTPP、Hg(II)、AFがそれぞれ50uM、50uM、1uM、10nM、100nM以上でTrxRを抑制することが明らかとなった。ただしAuTPP、Hg(II)、AFは1時間程度の反応時間が必要であった。MTTアッセイによるミトコンドリア活性測定の結果、同様の条件ですべての金属化合物は哺乳類細胞に対して毒性を示さなかった。そこで、抑制剤の抗生薬としての有効性を探るため、各種金属化合物を大腸菌とともに培養し、細菌増殖抑制能を評価した。その結果、GSTMのみが、ほかの金属化合物に比べ、哺乳類細胞に毒性のない濃度で、より高い細菌増殖の抑制を示した。さらに、GSTMの効能を探るため、神経細胞およびヒト血球細胞においてLPSによる細胞毒性に対する効果をみたところ、低濃度のGSTMを24時間前処理することにより、その後のLPSによる細胞毒性が抑制される結果が示された。このことはグラム陰性菌がかかわるさまざまな疾患に対してGSTMが効果を示しうることを示唆した。
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Research Products
(6 results)