2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規反応開発を基盤とする医薬リード化合物の設計と合成
Project/Area Number |
07J03079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
元木 理絵 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 抗結核薬 / 不斉 / 立体選択的 / 不斉プロトン化 / 触媒的アリル化 |
Research Abstract |
結核はAIDSおよびマラリアとともに三大感染症とよばれ、多剤耐性菌などの出現によって今なお人間の生存と安全を脅かす存在である。しかしながらここ40年間もの間新規の化学構造や作用機序を示す強力な新薬は全く報告されておらず、開発が望まれている。 R207910はJohnson&Johnson社によって開発された化合物であり、既存の抗結核薬に比べて非常に強い抗菌活性を有する。また、既存の薬とは異なる作用機序を示すことから多剤耐性菌をも標的とした新しい結核治療薬として有望視されている。しかしながら報告されている唯一の合成法はJohnson&Johnson社による光学分割法であり効率が良いとはいえなかった。そこで私は抗結核薬R207910の世界初の立体選択的合成法の確立を目標として研究を開始した。 合成の鍵となるのが不斉四置換炭素を含む連続する二つの不斉中心をいかに構築するかである。当研究室で開発された触媒系を元に、一つ目の不斉点を触媒的不斉プロトン化により、さらにその基質に対するジアステレオ選択的なアリル化によって二つ目の不斉点である三級アルコールを構築することとした。 ○不斉プロトン化 不斉プロトン化の基質であるシリルエノールエーテルを合成し、当研究室で開発されたガドリニウムーFujiCAP0錯体を用いて不斉プロトン化を行い、一つ目の不斉点の構築を検討した。リガンドのチューニングによって現在のところ63%eeにて目的物を得ることに成功している。 ○ジアステレオ選択的な触媒的アリル化とR207910の合成 当研究室で開発された触媒的不斉アリル化をそのまま用いた私の合成中間体に適用した場合にはジアステレオ比がほぼ1:1だったのに対して、ZnCl_2およびホスホニウム塩を添加した場合に6:1と選択性が劇的に向上した。その後変換を行い、総計13工程にてR207910へと導くことに成功した。
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Research Products
(3 results)