2007 Fiscal Year Annual Research Report
進化工学的手法による分子モーターのメカニズムの研究
Project/Area Number |
07J03080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古田 健也 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | モータータンパク質 / 進化分子工学 / キネシン |
Research Abstract |
分子モーターの運動メカニズムを探るため、進化分子工学の手法を用いて分子モーターの一種であるキネジンに変異を導し、運動能を獲得したり、運動方向を逆転させるようなセレクションを行って、新たな機能をもった分子の種類を数多く得るという実験系を構築することを目標とし研究を行った。まずはじめに、分子モーターが一方向に運動する、という性質が本質的に重要であるので、天然に存在するマイナス端方向性キネシンであるNcdの一分子の運動性を解析し、論文を発表した。また、同じマイナス端方向性キネシンのPkl1についても生化学的実験や多分子・一分子の運動解析を行い、論文を投稿した。これらの知見により、マイナス端方向性キネシンが微小管上を連続的に運動できることが分かったが、これらは一見してプラス端方向性キネシンとは異なるメカニズムで運動しており、運動方向性によるメカニズムの違いがそれぞれの方向に運動するモーターにとって本質的なものであるかどうかが、一方向性の運動メカニズムの解明に重要であることが示唆された。 分子のセレクションに先立って、まず、試験管内タンパク合成法により合成したキネシン分子が全反射蛍光顕微鏡下で微小管上を運動することを確認し、最初の目標であった機能を保ったキネシン分子をin vitroで合成することに成功した。現在、キネシンの微小管結合部位、運動方向性に重要であると考えられているネック部位にランダムな変異を導入し、微小管とのアフィニティによってそのmRNAを回収する過程を最適化している。また、次のステップである、運動能でセレクションを行うステップに必要な実験系を作製することに成功した、これは、ガラスチャンバー内で微小管の極性を一方向に揃えて並べた微小管アレイである。具体的には、ガラス表面にキネシン分子を吸着させ、一定方向の流れの中で微小管すべり運動をさせると微小管の極性がそろうことを利用したものである。mRNAの効率的な回収法の確立を除き、初年度の目標はほぼ達成された。
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Research Products
(2 results)