2008 Fiscal Year Annual Research Report
進化工学的手法による分子モーターのメカニズムの研究
Project/Area Number |
07J03080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古田 健也 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | モータータンパク質 / 進化分子工学 / キネシン |
Research Abstract |
分子モーターの運動メカニズムを探るため,進化分子工学の手法を用いて分子モーターの一種であるキネシンに変異を導入し,運動能を獲得したり,運動方向を逆転させるようなセレクションを行って,新たな機能をもった分子の種類を数多く得るという実験系を構築することを目標とし研究を行った.まず,分子モーターが一方向に運動するという性質が本質的に重要であるので,天然に存在するマイナス端方向性キネシンを昨年に引き続き調べた.マイナス端方向性キネシンのPkl1について米国誌Journal of Biological Chemistryに投稿していたものがrevisionで返ってきたため,追加の実験を行い,出版することが出来た.これにより,昨年出版した論文と併せて考えると,マイナス端方向性キネシンがマイナス端方向性キネシンの中で共通した性質を持ち,プラス端方向性キネシンとは異なる運動性を持っていることが示唆された. 分子のセレクションに先立って,T7ファージに提示したキネシン分子が微小管上を運動できることが分かった.このことにより,キネシン分子を,その運動能によって選択することが可能であることがわかった.また,試験管内タンパク合成法により,キネシンの微小管結合部位にアミノ酸特異的にランダムな変異を入れる方法を確立した.現在,mRNAを回収する過程を最適化している.また,次のステップである,選択と進化を行うステップに必要なガラス基板の作製を行った.タンパク質-DNA複合体の非特異的なガラスへの吸着を防ぐため,ポリエチレングリコール(PEG2000)をガラス基板に高密度に生やし,必要な分子を特異的に結合することに成功した.目標とする進化サイクルを実行するところまでは到達しなかったが,進化サイクルを回す実験系の準備が全て整った.
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Research Products
(4 results)