2008 Fiscal Year Annual Research Report
O-アシルイソペプチド法を利用したクリックペプチドの開発:光反応によるAβの産生
Project/Area Number |
07J03093
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
谷口 敦彦 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アミロイド / アルツハイマー病 / Aβ1-42 / O-アシルイソペプチド法 / クリックペプチド / 凝集 / 水溶性 / モノマー |
Research Abstract |
本研究者らは、独自で開発した効率的ペプチド合成法"O-アシルイソペプチド法"を基盤とし、光照射やpH変化等の刺激に応答してアルツハイマー病関連アミロイドβペプチド(Aβ)1-42へ変換されるアナログ"クリックペプチド"の開発研究を行った。以前開発した光応答型クリックペプチドはその低水溶性に問題があった。そこで今回、本研究者らは、光応答型クリックペプチドに水溶性の高い光解離性保護基を適用することによって、その問題を克服し、より実践的に使用可能な水溶性光応答型クリックペプチドの創製に成功した。 さらに本研究者らは、pH応答型クリックペプチドおよびその産生したAβ1-42の凝集性・二次構造を、サイズ排除クロマトグラフィー、チオフラビン-Tアッセイ、円二色性(CD)スペクトル法等の物理化学的分析法を駆使して検討した。その結果、本クリックペプチドからAβ1-42を素早く産生することで、ランダムコイル構造を持つモノマーAβ1-42から始まる凝集過程を再現することができることを示した。現在、Aβ1-42の難水溶性・高凝集性に起因して、モノマーをスタートに揃えたAβ1-42の凝集過程を実験で再現することが困難であり、これがアルツハイマー病の発病機構解明において大きな障害となっている。この背景の中で、クリックペプチドからモノマーAβ1-42を容易に産生させる実験系は、アルツハイマー病研究において大変有用であると考えられる。このため、クリックペプチドはWiley Encyclopedia of Chemical Biologyに収載されるなど、ケミカルバイオロジー分野において大変重要視されている。
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Research Products
(11 results)