2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03097
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
早乙女 飛成 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 強擬凸多様体 / エネルギー / 擬正則写像 / 劣楕円性 / 調和写像 |
Research Abstract |
研究の目的は強擬凸多様体における量子コホモロジー理論を構成することである。現在考えられているコホモロジー環の量子化はsymplectic多様体の大域的な性質を調べる上で多くの応用がなされているが、諸概念が概正則曲線を用いて定式化されるため、多様体はsymplecticであることが必要であり、とくに次元は偶数次元であるという制約を持つ。本研究の主題は、これを奇数次元のsymplectic多様体の類似物である強擬凸多様体に対して定式化できないかという試みである。今年度は研究初年度であるため理論の基礎にあたる概正則曲線に類似する概念を定義・定式化し、その基本的な性質をいくつか証明した。主な内容は、強擬凸多様体に対する概正則写像の定義とそのエネルギーに関する公式、概正則写像の全体のなすモジュライ空間の横断性に関する考察である。 概正則曲線に対応する概念となる概正則写像は、強擬凸多様体間の写像として定義されるが、写像の微分の、強擬凸多様体の特徴となる特性方向に関する成分が重要な性質を持つことを示した。とくにこの成分が単位ベクトルとなる場合、概正則写像は等長はめ込みとなり、とくに極小となる。これはsymplectic多様体間のエネルギー恒等式を満たす概正則写像のもつ基本性質に対応するものと考えられる。また、モジュライの横断性に関しては、完全な結果はまだ得られていないが、概正則写像が満たす微分方程式の線形化が劣楕円性を持つことを示すことが出来た。 とくに、強擬凸多様体の代表的な具体例であるKahler多様体上のS^1束においては、そのS^1軌道の対応を考察することにより、束構造を通したKahler多様体間の概正則曲線との対応も考えられるだろうと予想される。
|
Research Products
(1 results)