2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤田 知久 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己組織化 / DNA / 分子認識 |
Research Abstract |
生体内では、短いヌクレオチドやアミノ酸が水中で、特異的な水素結合することにより、精密な分子認識や酵素反応を行っている。しかしながら、水中でそれらを単純に混合するだけでは、無数の水分子により水和を受けて、特異的に水素結合を形成することは起こりえない。そこで、本研究では、水中で短いヌクレオチドを人工的な疎水性空間内に包接することにより、特異的に水素結合対を形成させることを目標としている。平成19年度の研究として、水中でヌクレオチドを認識できるようなかご状錯体の合成と、その包接挙動を検討した。その結果、当初の狙い通りに、水中でヌクレオチド分子を2分子ペア包接し、かご状錯体の疎水性内部空間に水素結合対を形成させることに成功した 己組織化の手法を用いることで、かご状錯体を新規に合成した。核磁気共鳴スペクトル測定により、このかご状錯体は、水中、2分子のモノヌクレオチド分子の核酸塩基部位を、内部空間に選択的に包接することを見出した。さらに単結晶X線構造解析により、内部空間内で、モノヌクレオチド分子のアデニンとウラシル部位が、特異的にアンチ・フーグスティーン型の水素結合対を形成していることを直接観察することにも成功した。さらに、かご状錯体を拡張することで、2残基のヌクレオチドの2分子包接および水素結合対の形成が可能であることも明らかにした。 本年度得られた以上の結果は、水中で人工ホスト化合物によりヌクレオチド分子を2分子包接した点、それらを単結晶X線構造解析によって明らかにした点{さらに水中で人工的に水素結合対を誘起した点において非常に新しい。この手法を利用して、長いヌクレオチド分子のフォールディングや特異的な反応へ、さらに研究を発展できると考えている。
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Research Products
(1 results)