2007 Fiscal Year Annual Research Report
液晶性ダイアド分子による有機薄膜太陽電池のナノ構造制御
Project/Area Number |
07J03127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西澤 剛 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ダイアド / オリゴチオフェン / フラーレン / 有機薄膜太陽電池 / 液晶 / ナノ構造 |
Research Abstract |
本研究では、ドナーとアクセプターが化学的に連結した、オリゴチオフェン-フラーレンダイアド分子を設計、合成し、有機薄膜太陽電池に応用することで、有機薄膜中のナノ構造を制御することを試みている。 合成したダイアド分子は、薄膜中にて10ナノメートルスケールの小さな筋状の凝集構造を形成し、その薄膜を用いたデバイスでは電荷分離効率が、ドナーとアクセプターの物理的混合膜に比べて、2倍以上に向上することが明らかとなった[Nishizawa, et. al., J. Mater. Chem.,17,2440(2007)]。一方、内部抵抗が高いためにFill Factor(FF)が0.23と小さく、擬似太陽光(AM 1.5)照射下での光電変換効率は0.15%と低い値を示した。そこで、オリゴチオフェン(ドナー)、またはフラーレン誘導体、PCBM(アクセプター)をダイアド分子に混合させることにより、薄膜中におけるホール、または電子の輸送経路を構築し、電荷輸送効率、よってFFを向上させることを試みた。その結果、ダイアドにオリゴチオフェンを混合させた場合には、オリゴチオフェン部位の相互作用が強まったことにより、薄膜中での分子の結晶性が向上し、FFが向上することが明らかとなった。一方、PCBMを混合させた場合には相互作用が弱まり、FFが低下したことより、電荷輸送効率を向上させるためには、結晶性の高いドナー分子をダイアド分子に導入することが重要であることがわかった。 電荷輸送効率を向上させるためには、分子の結晶性の他に、分子配向も重要である。そこで、本研究では、液晶分子の自己組織化を用いた分子配向制御を目指し、液晶分子の設計、合成をおこなった。分子の熱的挙動を観測したところ、合成したオリゴチオフェンとオリゴチオフェン-フラーレンダイアドが液晶性を示すことが明らかとなった。本研究のダイアド分子は、フラーレンの液晶としては最も簡単な構造をしており、従来のフラーレン液晶に比べて電子的に不活性な部位が少なく、規則構造を有する効率的なデバイスの作製が期待できる
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Research Products
(3 results)