2009 Fiscal Year Annual Research Report
凍結耐性レベルを左右するアブシジン酸応答機構のマイクロダイセクション
Project/Area Number |
07J03134
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
小林 史典 National Institute of Agrobiological Sciences, 植物ゲノム研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | パンコムギ / ABA感受性 / QTL / 非生物的ストレス / マッピング |
Research Abstract |
パンコムギの耐凍性発揮におけるアブシジン酸(ABA)の役割を調べるために、パンコムギの組換え近交系統(RILs、210系統)を用いて、幼苗におけるABA感受性のQTL解析を行い、個々のQTLの非生物的ストレス耐性に関与するABA応答性遺伝子発現への影響を調査した。 連鎖地図の作成は、既知のSSRマーカーを用いて行い、これまでに313個のマーカーからなる連鎖地図を作成した。連鎖地図とABA感受性試験の結果をもとに、QTL解析を行った。その結果、1B、2A、3A、6D、7B染色体上にABA感受性に関与するQTLが検出された。このうち、6D染色体上のQTLが最も作用力が大きく、LOD値6.6、寄与率11.1%であった。 次に、検出したQTLとABA応答性遺伝子群との関係を調べるために、各QTLを保有するRILを選抜し、これらを用いてABA応答性遺伝子群の発現解析を行った。発現解析は、Cor/Lea (cold responsive/late embryogenesis abundant)遺伝子、それらの転写因子をコードする遺伝子群、ジグナル伝達に関係する遺伝子について行った。その結果、いくつかのCor/Lea遺伝子で転写産物の蓄積レベルに系統間差が見られ、Wdhn13とWrab15は、2A、3A、6D、7B染色体、Wrab17は、2A、6D、7B染色体上のQTLの影響を受けた。このことから、これらのABA感受性を支配するQTLがCor/Lea遺伝子発現を制御し、非生物的ストレス耐性に関与することが示唆された。
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Research Products
(7 results)