2007 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛アート錯体の論理的設計に基づく、低分子・高分子横断型機能性分子の創成
Project/Area Number |
07J03141
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古山 渓行 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アート錯体 / ハロゲン-メクル交換反応 / ベンズヒドロール / 細胞増殖抑制剤 / NMR / 不均化 |
Research Abstract |
分子内にπ共役系を多数含む機能性分子を合成するにあたっては、芳香族アニオン種を効率的に発生させる手法の開拓が必要不可欠です。そこで今年度は、亜鉛アート錯体を用いて芳香族アニオン種を発生させ、各種求電子剤と反応させることで新しい化合物群を創成する検討を行いました。検討の結果、アリール亜鉛簡と修飾されたベンズアルデヒド類が良好に反応し、効率よくベンズヒドロール誘導体が得られることが分かりました。また、この化合物群から簡単に誘導できる化合物が、既に紬胞増殖抑制作作用があることとして知られている1'-Acetoxychavicol acetate(ACA)とほぼ同等かそれ以上の活性を有することが明らかとなり、私が開発した亜鉛アート錯体を用いた合成法が機能性生分子の創成に有用であることの最初の知見を得ることができました。 また、平行して化学選択的亜鉛化反応において有用なジアニオン型アート錯体、tBu4ZnLi2の溶液中における挙動を分光学的手法に基づき明らかとする検討を行いました。NMRやESI-MSを用いた解析の結果、中心金属周りを嵩高いtBu基がTetrahedralに配置することで効率的に遮蔽している隣子を観測することができました。また、類似の錯体について同様な検討を行ったところ、3配位型としたtBu3ZnLiでは溶液中で単独の活性種を観測することができず、2配位のtBu2Znと4配位のtBu4ZnLi2に不均化している様子が観測できました。亜鉛アート錯体の化学において、埴常ジアニオン型錯体はモノアニオン型より不安定とされていることから、この現象は配位子を嵩高くすることによって初めて見いだされた現象であると考えています。また、一般的には中心金属と配位子の等量を制御することが配位数の制御に重要であるとされていますが、今回の例はそれに反するものとして、今後の錯体設計において重要な示唆を与えていると考えています。
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Research Products
(6 results)