2008 Fiscal Year Annual Research Report
計算機を用いた代数的位相幾何学の研究とアルゴリズムの開発
Project/Area Number |
07J03177
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
深谷 友宏 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Grobner基底 / Steenrod代数 / Coarse geometry / 臨界値 / 漸近分布 |
Research Abstract |
昨年度から引き続き,Steenrod代数上の加群の自由分解を行うアルゴリズムを研究した.開発したアルゴリズムを元に,プログラムを作成し,京都大学理学研究科数学教室所有の大型計算機で計算を行った.またアルゴリズムの数学的側面をまとめた論文を執筆中である. 昨年度,京都大学の塚本氏と共同で行った,直積多様体上の関数の臨界値の漸近分布に関する論文が,雑誌Geometriae Dedicateに掲載された また,離散幾何学との関係で,Coarse Geometryの研究を始めた,Coarse Geometryとは,空間を「荒く」捉えたときに見えてくる,「大域的な」構造を調べるものである.重要な研究対象として,Open Riemann多様体や無限離散群などがある.さて,距離空間に対して,その「Coarseな性質」にのみ依存するコンパクト化があり,Higsonコンパクト化と呼ばれている.その境界はHigsonコロナと呼ばれており,空間の無限遠での情報を凝縮して持っていると考えられる.距離空間とそのHigsonコロナの対応は,Coarseカテゴリーからコンパクト位相空間のカテゴリーへの関手になっている.Higsonコロナはコンパクト位相空問ではあるが,第二加算公理を満たさない.したがって距離化不可能である.これはHigsonコロナが極めて複雑な位相を持った空間である事を意味する.さて,有限生成群$G$が距離空間$X$にある自然な条件を満たすように作用しているとき,その群作用はHigsonコロナへの連続な群作用を誘導する.特に群$G$がアーベル群の場合,誘導された群作用が必ず不動点を持つ事を証明した系として$\mathbb{Z}$の,双曲群のGromov境界への群作用が不動点を持つ,という主張が得られた.これは双曲群論でよく知られた基本的な事実である.
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Research Products
(5 results)