2007 Fiscal Year Annual Research Report
粗視化タンパク質モデルの数値実験による細胞機能の再現と定量的統計理論の構築
Project/Area Number |
07J03179
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
林 久美子 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 非平衡統計力学 / 揺動散逸定理 / タンパク質 |
Research Abstract |
(1)DNAヘアピンの確率共鳴(バルセロナ大学との共同研究)光ピンセットを用いて、DNAヘアピンに操作し、確率共鳴の現象を観察した。DNAヘアピンは開閉するが、その開閉の運動を確率共鳴を用いて調べた。生体高分子の実験に対し、理論で何かするためにも光ピンセットなどの実験機具の操作方法を知る必要もあり、自分自身で実験してみた。 (2)F1-ATPaseの回転ポテンシャル(数値実験) F1-ATPaseはタンパク質分子モーターで、ATPを加水分解してエネルギーを得て回転する回転モーターである。粗視化タンパク質モデルを用いて、F1モーターの運動を再現し、回転ポテンシャルを測定した。最近の実験で、ATPがない状態でのF1モーターの回転子のブラウン運動が観測され、ATPがない状態でのF1-ATPaseの構造や回転ポテンシャルが問題になっている。粗視化タンパク質モデルで、ATPが無い状態のブラウン運動を再現することを目指し、実験結果の解釈を試みた。 (3)F1-ATPaseの実験計画 DNAヘアピンで研究してきた現象(1)を、ヘアピンより複雑な構造を持つタンパク質F1-ATPaseで試す実験計画を企画した。確率共鳴を用いてF1-ATPaseの運動を調べたり、Fluctuation theoremを用いてF1-ATPaseのトルクの精密測定が可能か検討したり、実験計画を立てた。来年度はF1-ATPaseに対して、実験と理論の双方から研究したい。
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Research Products
(4 results)