2007 Fiscal Year Annual Research Report
光学測定法を用いた、マウス梨状皮質の機能地図とその経験依存性の解析
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07J03183
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
五十嵐 啓 The Institute of Physical and Chemical Research, 脳統合機能研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 梨状皮質 / 光学測定法 |
Research Abstract |
本研究は光学測定法を用いて齧歯類梨状皮質の機能構造を解明すること、およびその構造の経験依存性を明らかにすることを目的とする。本年度はこの目的のための実験系の開発を行った。梨状皮質からの神経活動の記録を行うため、軸索末端の活動を効率的に、軸索末端の活動を効率的に記録することが出来るsynaptopHluorinタンパク質を、嗅球から梨状皮質への投射細胞である僧帽細胞に特異的に発現するトランスジェニックマウスの作成を行った。このマウスにおけるsynaptopHluorinタンパク質の発現を抗体染色により確認したところ、僧帽細胞の細胞体、樹状突起、さらに軸索の広い範囲に発現が見られた。invivoの蛍光像を観察したところ、梨状皮質に強い蛍光が観察された。次に、このマウスからの神経活動の記録装置の開発を行った。蛍光顕微鏡および冷却CCOを用いて最適な蛍光記録が行える装置をととのえた。さらに、蛍光強度はマウスの呼吸によって変動することが予想されるため、呼吸モニター装置から任意の呼吸位相で記録開始が行えるプログラムの開発を行った。以上の装置を用い、麻酔下のsynaptopHluorinトランスジェニックマウスから記録を行った。嗅球の糸球層電気刺激に対する梨状皮質の応答を記録したところ、数%の蛍光強度の変化が見られた。また、この蛍光強度の変化は、電気刺激のパルス数・刺激電流量に相関して増加した。以上の結果より、僧帽細胞の活動を選択的に記録する系が確立されたと考えられる。次年度以降は、この系を用いて梨状皮質における嗅球からの匂い刺激および嗅球電気刺激に対する機能イメージングを行い、梨状皮質の機能構造の解明を目指す。
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