2009 Fiscal Year Annual Research Report
光学測定法を用いた、マウス梨状皮質の機能地図とその経験依存性の解析
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07J03183
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
五十嵐 啓 The Institute of Physical and Chemical Research, 脳統合機能研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 僧帽細胞 / 房飾細胞 / 嗅皮質 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、嗅球単一投射細胞の軸索投射パターンを可視化する実験を行った。麻酔下マウスの単一僧帽・房飾細胞より傍細胞記録法により活動電位を記録し、特定の匂い刺激に応答する細胞を同定した。引き続き、傍細胞イオン導入法により順行性トレーサーを注入し、動物を復帰させた。復帰3日後に動物を固定し、薄切片を作成、トレーサーを免疫抗体法により可視化した。この可視化された軸索・樹状突起をNeurolucidaシステムにより三次元再構成を行い、軸索の嗅皮質内での分布を解析した。 その結果、単一僧帽細胞は嗅皮質個々の領域のほとんどすべてに軸索を投射していることが明らかになった。一方、房飾細胞は嗅皮質の前方の領域のうちの限られた部分にのみ投射をしていることが明らかになった。画像解析の結果、二つの細胞群の投射領域には重複が少なく、嗅皮質のなかでもほぼ別々の領域に投射しているころが明らかになった。この分離したパターンは、異なるニオイに応答する細胞群についても観察された。さらに、生理学的方法により両細胞群のニオイ濃度に対する閾値を検討したところ、房飾細胞群は有意に低い閾値を持つ(より低濃度から応答する)ことが明らかになった。よって、哺乳類は僧帽・房飾細胞の二つの経路を介してニオイの認識を行っていることが示唆された。
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