2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体を模倣したリン脂質ポリマーによる眼科用バイオマテリアルの創製
Project/Area Number |
07J03206
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合田 達郎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | バイオマテリアル / ハイドロゲル / バイオミメティックス / ポリマーグラフト / ナノコンポジット / ソフトコンタクトレンズ / タンパク質吸着 / 酸素透過性 |
Research Abstract |
近視患者・高齢者・糖尿病患者の増加に伴い、コンタクトレンズ・人工水晶体・人工硝子体といった眼科用バイオマテリアルに対する需要は急速に高まっている。しかし、生体の要求する酸素供給量や、細菌の繁殖を抑える材料やドライアイ症患者でも装着可能なレンズ材料の創製が課題である。本研究では細胞膜リン脂質極性基を有するリン脂質ポリマーゲルを合成し、新規眼科用材料の創製をおこなった。ナノオーダーでのゲル網目不均一構造を検出するために、動的光散乱法による解析を行った。その結果、モノマーと架橋剤の組合せ、架橋剤濃度、架橋剤の化学構造によって高分子ゲル網目の不均一構造を抑制できることを見出した(Macromolecules,submitted)。このリン脂質ポリマーゲルは、高い酸素透過性と優れた耐汚れ性、水濡れ性を兼備した材料であった(J.Biomed.Mater.Res.Part B)。次に、高分子網目中の不均一構造を抑制するための第2のアプローチとして、リン脂質ポリマーとクレイによる有機-無機ナノコンポジットゲルを作製した。その結果1.8MPa、99%以上のひずみ下においても破断しないという驚異的な力学特性を有するナノコンポジットゲルが得られた。このゲルは、含水率が98%と生体の硝子体とほぼ同程度の含水率を有することから、人工硝子体としての応用が期待できる。最後に、本研究者は2008年8月から10月までスウェーデン国ウプサラ大学オングストローム研究所ヒルボーン研究室に研究留学を行った。そこでは、細胞と生体材料との相互作用についての研究を行い、細胞培養技術の習熟、種々の分子生物学的評価を学ぶことができた。また、語学の訓練、コミュニケーション能力の強化にも努め、国際的規模で交流を深めることができた。
|