2007 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞と炎症性細胞との液性因子を介した相互作用による免疫応答制御機構の解析
Project/Area Number |
07J03219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 俊平 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 肝臓 / 免疫寛容 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
本研究は、肝臓における免疫寛容を誘導するメカニズムの一つとして、肝臓の毛細血管内皮細胞である肝類洞内皮細胞と、免疫担当細胞との相互作用が重要であると考え、その詳細な分子メカニズムを明らかとする事を目的としている。本年度の研究の結果、内皮細胞が分泌する抗炎症性液性因子の作用細胞はT細胞や樹上細胞ではなく、マクロファージであることが明らかとなった。またマクロファージに作用した後、主にIL-12産生活性を抑制する事でT細胞やNK細胞からのIFN-γ産生を抑制し、IFN-γによるマクロファージの活性化を抑制していることが明らかとなった。この事は、肝臓においては内皮細胞との相互作用によって、マクロファージの自然免疫応答活性が恒常的に抑制されている事、また肝臓においてマクロファージの活性抑制が肝免疫寛容の誘導に重要である事を示唆している。肝臓にはクッパー細胞と呼ばれる肝常在性マクロファージが多数存在しており、またクッパー細胞の自然免疫応答活性は他の臓器由来のマクロファージよりも弱い事が先攻研究からすでに明らかとなっているが、その分子メカニズムは不明である。本年度の研究結果から、クッパー細胞の性質獲得には内皮細胞との相互作用が重要であり、また肝免疫寛容の誘導に重要である事が示唆された。現在、内皮細胞の分泌する抗炎症性液性因子の探索を生化学的に行っている。まだ因子の同定にまで至っていないが、SDS-PAGE後銀染色法による検出系において、候補を絞り込む事に成功している
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