2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03224
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津嶋 貴弘 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分岐理論 / 1進エタール・コホモロジー / ガロワ表現 |
Research Abstract |
平成20年度に於いて、研究実施計画通り、正標数の体上の代数多様体の上の1進層の特性類の局所化について研究を進めた。私の研究分野である数論幾何学に於いて、最も重要な中心対象はガロワ表現である。例えば、モジュラー曲線、高次元の志村多様体のエタール・コホモロジーから生じるガロワ表現についての理解からFermat予想や佐藤・Tate予想が導かれたことは記憶に新しい。このガロワ表現に関して、分岐という重要な現象があるのだが、これを考察しガロワ表現に対する理解を深めようとするのが私の研究の主目的である。この分岐の深さを測る不変量に導手というものがある。このがロワ表現の導手を多様体の退化のひどさを表す幾何学的な不変量で計算する、というのが導手公式で、これを等標数の場合に証明した。この証明において重要な役割を果たしたのが、特性類の局所化である。考える代数多様体上の1進層の階数が1の場合には、局所化のより簡単な方法があり、これに関することを論文にまとめてRIMS Kokyuroku Bessatsuに投稿した。 高階数の場合にも局所化のうまい方法が見つかり、導手公式の証明を含め論文を作成中であり、近く論文誌に投稿予定である。以上の研究は、正標数の完全体上の話であり、幾何的状況と呼ばれるが、数論的状況と呼ばれる局所体上の幾何学についても研究を行っている。 これについては以下のような結果を得ている。局所体上のFermat曲線の幾何学をエタール・コホモロジーを使って調べると、数論的に重要なGauss和やHecke指標、ヤコビ和といった対象についてわかることがある。このFermat曲線に付随するエタール・コホモロジーの完全な計算を行った。例えば、これの系として、GaussによるGauss和の公式などが出る。この計算についても論文を作成中であり、論文を投稿する予定である。
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