2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03231
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 慎太郎 The University of Tokyo, 史料編纂所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 天皇 / 朝廷 / 非蔵人 / 地下官人 / 入木道 / 門跡 / 口向役人 / 近世 |
Research Abstract |
本年度は特別研究員採用に当たって研究課題としていた点のうち、近世天皇の雑事を担った非蔵人の存在形態、朝廷の財務を担った口向役人の役割を検討した。 第一に、非蔵人の存在形態の検証。これは非蔵人に関する史料を用いて、1禁裏御所・仙洞御所における非蔵人の人数と役割、2堂上公家との関係、3門跡寺院において活動した非蔵人の役割などを検証した。1の作業として、慶長年間から明治2年まで767人に及ぶ非蔵人データベースの作成を行なった。2〜3として、近世初頭から18世紀初頭にかけての非蔵人の動向を検証した。 第二に、公家社会の文化的動向の検証。具体的には近世に至って家職として確立した持明院流入木道を分析した。1持明院流入木道成立の契機、2持明院流入木道の門人の動向、3門人がどのような契機で入門するのかなどを検証した。1の作業として、持明院家に提出された門人誓詞の写真帳(東京大学史料編纂所所蔵)から門人化の契機を検討した。2〜3の作業として、国文学研究資料館などに所蔵された入木道の秘伝書の類を検証して、何が相伝されたのか、どのように相伝されたのかを検討した。また、実際に入木道に入門した姫路藩主酒井忠以の日記から、文化動向の中で、入木道がどのような意味を持つかについて検討した。 第三に、口向役人の検証。近世朝廷の経営は幕府旗本と朝廷内部の下級役人である口向役人によって担われている。特に、朝廷儀式に参加する地下官人は賄頭や勘使と称される口向役人の指示により、下行の受け渡しや諸道具の受取を行なっている。そこで口向役人のうち、賄頭や勘使に任命されるかをデータとしてまとめた(「御内儀侍中家譜」宮内庁書陵部蔵)。次に、どのような業務があるのか、地下官人の日記より抜き出し、賄頭や勘使の機能を検討した。
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