2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答性JNKシグナル系の神経変性疾患における機能解析
Project/Area Number |
07J03259
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 世和 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | JNKシグナル系 / 条件付ノックアウトマウス / MKK7 / Nestin-Cre / Synapsinl-Cre |
Research Abstract |
ストレス応答性JNK(別名SAPK)シグナル系が、正常な脳において発生期から持続的にリン酸化されている事を見出し、正常な脳における機能を明らかにするため、JNKの活性化因子であるMKK7の条件付ノックアウトマウスを用いた解析を行った。 1)Nestin-CreによるMKK7条件付ノックアウトマウスの解析 発生期の脳におけるJNKシグナル系の機能を解析するため、Mkk7 floxマウスとNestin-Creマウスを交配し、発生初期の神経幹細胞でMKK7を破壊したマウスを作出した。このマウスは生後直後に呼吸不全で死亡すること、脳における軸索路の形成に異常を呈することが明らかとなった。さらに解析を行い、MKK7-JNKシグナルが発生期における神経細胞の軸索形成を制御していることを示した。 2)Synapsinl-CreによるMKK7条件付ノックアウトマウスの解析 成体の脳においてJNKシグナル系の機能を解析するため、Mkk7 floxマウスとSynapsinl-Creマウスを交配し、成体における神経系特異的MKK7ノックアウトマウスを作出した。このマウスは生後直後の致死を回避したが、体重の減少、脳重量の増加という表現型を示した。また、このマウスでは加齢することで神経変性疾患と類似した症状が観察されることが明らかとなった。 以上の成果より、JNKシグナル系は発生期から成体に至るまで、正常な脳の形成・機能維持に必須であることが明らかとなった。今後は、成体の脳におけるJNKシグナル系が制御している現象を見出し、Synapsinl-CreによるMKK7条件付ノックアウトマウスの神経変性疾患様症状発症のメカニズムを明らかにすることを計画している。
|
Research Products
(3 results)