2007 Fiscal Year Annual Research Report
シリカゾル-ゲル系における細孔構造形成機構と流体輸送の実空間三次元解析
Project/Area Number |
07J03262
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 明子 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ゾル-ゲル法 / 自己組織化 / 流体輸送 / 高速液体クロマトグラフィー / 共焦点レーザースキャン顕微鏡 / 小角X線散乱 / 流体力学シミュレーション / 相分離 |
Research Abstract |
前年度までに行ってきた『(1)細孔構造と流体輸送の解析』と、平成19年度から実施した『(2)細孔構造形成機構の解析』、『(3)分離性能と細孔構造の解析』を総合して、現在求められている高速・高性能分離に最適な構造制御を行うことが、本研究の目的である。以下に、平成19年度に実施した研究に関して、まず項目に分けて述べる。 (2)細孔構造形成機構の解析 今年度の計画は、超小角X線散乱法(USAXS)によって、重合初期から後期の時分割散乱測定を行うこと、共焦点レーザースキャン顕微鏡(LSCM)を用いた過渡的相分離構造の実空間観察と解析、また各種の幾何学パラメータとその形成機構に関する解析、構造制御を行うことである。 このうち、USAXS測定に関しては、時間分解能が重合と相分離ダイナミクスを追跡するに十分ではなく、放射光を用いたSAXSを行うこととした。SAXS測定の結果、相分離を伴う系では、重合体成長速度が伴わない系に比べて高く、重合体形成と相分離機構が密接に関係していることを明らかにした。これにより、出発組成を調製することにより、ゾルーゲル系における相分離を自由に制御することを可能とした。 また、LSCMによる実空間観察と得られたLSCM画像解析の結果、細孔の表面曲率と、構造の乱雑さ、サイズ、気孔率を制御する因子を特定した。 (3)分離性能と細孔構造の三次元解析 今年度の計画は、共連続細孔構造の三次元解析と各種の幾何学パラメータの抽出、幾何学パラメータを反映させたモデル構造の構築、流体力学シミュレーション(CFD)による計算である。 共連続細孔構造の三次元解析と各種の幾何学パラメータの抽出を行い、構造の乱雑さ、曲率、流路の分岐数の因子を反映させたモデル構造を構築し、それぞれに関してCFD計算を行ったところ、構造の乱雑さが、分離性能に最も大きく影響を及ぼすことを明らかにした。 (2)と(3)で得られた結果を総合し、高速・高性能分離を可能とするような材料設計の指針を見出すことができたと結論付けられる。
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Research Products
(2 results)