2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03267
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内藤 宏 Osaka University, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 視覚的注意 / 行為 |
Research Abstract |
行為が視覚的注意の空間特性に及ぼす影響について検討した.特に垂直方向における注意配分に対し,ポインティング動作が及ぼす影響について,視覚探索課題を用いた実験を行って検討した.従来の研究では,単に視覚探索を行う場合,垂直方向においては上半視野に対して注意配分が多いことが示されてきた.一方,動作を行う場合,下半視野への注意のバイアスがあることも示されてきた.本研究では,これら二つの事態を別々に扱うのではなく,"行為を行うために視覚探索を行う"という場合の,視覚的注意配分を検討することを目的とした.実験にはタッチパネル式のディスプレイを用いた.実験参加者は,複数の刺激の中からターゲット刺激を探索し,その位置をタッチパネル上でポインティングすることが要求された(ポインティング動作条件).探索刺激は固視点を中心に4象限に呈示された.視覚探索を行い,ターゲットを発見した後に,マウスカーソルによってその位置を報告する条件を統制条件とした.実験2では,同様の手続きを用い,ポインティング動作の運動開始位置を上下2か所に設定し,運動開始位置の効果を検討した.結果は,実験1では,統制条件では上半視野でのパフォーマンスが良かった一方で,ポインティング動作条件では垂直視野間の差はほぼなくなった.実験2では,運動開始位置の効果は見られなかった.実験1とは異なりポインティング動作条件でも上半視野の優位性が見られたが,垂直領域間の差は統制条件よりやや小さかった.これらの結果は,行為が視覚的注意の空間特性に影響し,上半視野へのバイアスは小さくなることが示唆する.本研究の課題はシンプルな刺激配置であったが,より複雑な作業空間における操作対象のレイアウトなどの応用研究に関して,基礎的知見を提起しているといえる.
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Research Products
(4 results)