2007 Fiscal Year Annual Research Report
層状コバルト酸化物エピタキシャル薄膜を用いた高性能熱電変換材料設計に関する研究
Project/Area Number |
07J03272
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉浦 健二 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 熱電変換 / エピタキシャル薄膜 / 層状コバルト酸化物 |
Research Abstract |
層状コバルト酸化物は、約10年前から熱電変換材料(特に、その高温安定性から自動車や工場からの廃熱を利用した"熱電発電")として期待される。しかし、高温での安定性と実用レベルの性能(変換性能指数ZT>1)を備えた層状コバルト酸化物の作製には至っていない。これには、層状コバルト酸化物の複雑な構造や多成分などの原因から良質な結晶を得ることが極めて難しいため、本質的な熱電物性に関する情報や高性能化への指針が得られていないことが一因と言える。本研究では、層状コバルト酸化物の高品質薄膜を用いて、その熱電物性の本質を明らかにすることにより、高性能化への設計指針を打ち出すことを着想した。まず我々は、高品質薄膜を得ることに尽力し、これまでに層状コバルト酸化物の薄膜成長に適した"固相トポタクティック変換法"を独自開発することによって、一連の層・状コバルト酸化物のエピタキシャル薄膜化に成功してきた。その中で本年度、(1)Ca_3Co_4O_9エピタキシャル薄膜を使った熱電変換特性解析、(2)層間イオンの変化における熱電物性の調査を行った。 (1)層状コバルト酸化物の現状の性能を明らかにするため、バルク単結晶を上回る高電気伝導度を示すCa_3Co_4O_9エピタキシャル薄膜を用いて、大気中高温1000Kまでの熱電特性を調査した。この結果、1000Kでこの薄膜はZT〜0.3であることが明らかになった。 (2)Na_XCoO_2、Li_XCoO_2、Ca_xCoO_2の薄膜を用いて、幅広い領域での熱電特性のドーピング濃度依存性を調査した。この結果から、層状コバルト酸化物の熱電物性は、単純にドーピング濃度だけでなく、配列や均一性といった分布に強く影響を受けることがわかった。 来年度、今回の知見から「ナノスケールでの構造制御による熱電性能の向上」を検討し、実用レベルの性能(ZT>1)を持った層状コバルト酸化物の実現を目指す。
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Research Products
(10 results)