2008 Fiscal Year Annual Research Report
層状コバルト酸化物エピタキシャル薄膜を用いた高性能熱電変換材料設計に関する研究
Project/Area Number |
07J03272
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉浦 健二 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 熱電変換 / エピタキシャル薄膜 / 層状コバルト酸化物 |
Research Abstract |
層状コバルト酸化物は、約10年前から熱エネルギーと電気エネルギーを直接変換できる熱電変換材料として期待されてきたが、高温での安定性と実用レベルの性能を備えた層状コバルト酸化物の作製には至っていない。本研究では、層状コバルト酸化物の複雑な構造や多成分などの原因から良質な結晶を得ることが極めて難しいため、本質的な熱電物性に関する情報や高性能化への指針が得られていないことが一因と考え、層状コバルト酸化物の高品質薄膜を用いて、その熱電物性の本質を明らかにすることにより、高性能熱電変換材料の設計指針を打ち出すことを目的とした。今年度の研究結果は、次の二点にまとめられる。 ●層状コバルト酸化物の熱電物性異方性:本実験では、用いるサファイア基板の結晶面をC(0001)面からM(1-100)面に変えることにより、Na_xCoO_2エピタキシャル薄膜の結晶配向を変えることに成功した。ここでは、基板に対しCoO_2層が43°傾いて成長したエピタキシャル薄膜が得られた。この薄膜を用いて熱電特性の異方性を評価したところ、導電率、熱起電力ともに面内方向のほうが高く、高効率な性能を得るにはCoO_2層内方向に応用すべきことが実験的に明らかになった。 ●Ca_<0.33>CoO_2エピタキシャル薄膜のCa配列の違いと金属-絶縁体転移:イオン交換によって得られるCa_xCoO_2はNa_xCoO_2に比べ(1)室温安定で、(2)イオン配列の観察が容易という利点をもっており、それを利用して、同じCa濃度で配列の異なる二種類のCa_<0.33>CoO_2エピタキシャル薄膜を合成し、その物性を調査した。その結果、Ca配列の変化に伴って電気伝導において金属-絶縁体転移を観察した。そしてこの転移を"乱れ"の効果によるものとして説明した。一方で、熱起電力はこうした配列の違いによってほとんど反応しなかった。
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Research Products
(11 results)