2007 Fiscal Year Annual Research Report
デキストラングルコシダーゼ基質複合体の結晶構造解析による触媒機構の解明
Project/Area Number |
07J03274
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本同 宏成 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | デキストラングルコシダーゼ / 糖質関連酵素 / X線結晶構造解析 / Streptococcus mutans |
Research Abstract |
これまでに得られていたX線回折データを用いて触媒残基変異体-基質複合体の構造精密化をおこなった.本構造は,α-1,6グルコシド結合加水分解酵素において初めての基質複合体構造であり,基質認識機構を立体構造から理解するために重要な結果が得られた.デキストラングルコシダーゼは,サブサイト-1では他のアルファアミラーゼファミリー酵素群の酵素と同様に基質と結合していたが,サブサイト+1においてLys275およびGlu371が基質と水素結合を形成することで,基質のα-1,6グルコシド結合を認識していることが明らかとなった.またポケット状の活性部位の底に水分子が並んだ穴が見つかったことから,基質が酵素と結合する際に活性ポケット内にある水分子を排出する排水口の役割があると考えられた.このような構造はアルファアミラーゼでは見つかっておらず,基質を非還元末端から分解するグルコシダーゼに特有の構造であると考えられる.この他,結晶からX線回折データを精度よく収集するため,結晶の凍結条件の改善を試みた.これまでは抗凍結剤に高濃度のポリエチレングリコールとグリセロールを用いていたため,浸透圧が大きく,結晶にひびが入るなど品質の低下がみられた.そこで抗凍結剤を2-メチル-2,4-ペンタンジオール(8%)に代えることにより,品質低下を抑えながらデータ収集を行えるようになった.本凍結方法を用いることで,放射光施設よりも弱い実験室系のX線発生器を用いても,2.0Å以上の高分解能なデータ測定が可能となった.
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Research Products
(7 results)