2009 Fiscal Year Annual Research Report
デキストラングルコシダーゼ基質複合体の結晶構造解析による触媒機構の解明
Project/Area Number |
07J03274
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本同 宏成 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | デキストラングルコシダーゼ / 糖質関連酵素 / X線結晶構造解析 / Streptococcus mutans |
Research Abstract |
これまでに得られた結晶構造を基に,加水分解反応に用いられると思われる水分子を予測し,その結合部位に変異を導入することで,糖転移能の改善を目指した.水分子と水素結合を形成しているアミノ酸残基を置換した9つの変異体は全て,野生型酵素よりも高い糖転移能を示した.合成及び天然基質を用いたときの糖転移及び加水分解速度をそれぞれ測定し速度論的解析を行ったところ,これら変異体は,1)アクセプタ親和力の増加2)加水分解速度の低下3)糖転移速度の増加により,野生型酵素よりも高い糖転移能を示すことが明らかとなった.また,変異体は天然基質に対しても高い転移能を示したことから,他の加水分解酵素へ同様の変異を導入し糖転移能を上げることで,新しい糖質合成法と成りうることが示された.さらに変異体の1つを結晶化し,その立体構造を決定したところ,注目した水分子を含めて触媒残基周辺の立体構造は保存されていた.このことから糖転移能が上昇した理由として次の2つが考えられる.1)注目した水分子は加水分解に使われる水分子ではないが,触媒残基と結合しているため,反応中間体の安定性に影響を与え糖転移能が上昇した2)注目した水分子は加水分解反応に用いられ,変異体では水分子を捕らえにくくなり糖転移能が上昇するが,結晶構造のような静的な構造には反映されない変異体は全て野生型より高い糖転移能を示したが,その転移速度は大きく低下していた.転移速度を落とさずに転移能を上げる変異が今後の課題である.
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Research Products
(10 results)