2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNA配列特異的アルキル化能を有する新規ピロール-イミダゾールポリアミドの開発
Project/Area Number |
07J03280
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 俊太 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 配列特異的アルキル化 / DNAアルキル化剤 / ポリアミド |
Research Abstract |
私は、学術振興会特別研究員として平成19年度に行った研究において、申請書に記した研究計画書の通り実験を遂行し、長鎖アルキル化Py-Imポリアミドの開発を行った。これまでPy-Imポリアミド合成の都合上5から6塩基認識型のヘアピン型Py-Imポリアミドを中心に開発を行ってきた。しかしゲノム上の特定遺伝子に対する選択性を獲得するためにはさらに長いDNA塩基配列を認識するアルキル化剤の開発が必須である。Py-lmポリアミドを固相合成法より供給することによって、ヘアピン型以外の様々な設計のPy-Imポリアミドの合成が可能となった。本研究において8塩基、10塩基を認識するアルキル化Py-Imポリアミドの開発に成功した。これらのアルキル化剤にはB型2重らせん構造をとるDNAに対して柔軟に結合するようにメチレン鎖を、リジッドなPy-Imポリアミド骨格内の適度な位置に導入する工夫を行っている。合成したアルキル化剤は、DNA配列特異性の検証及び細胞毒性試験による評価を行った。2本鎖DNAフラグメントに対しアルキル化剤を反応させ、変性ゲル電気泳動によるアルキル化バンドの位置の特定を行った。その結果、Y型ポリアミドで2カ所、タンデム型ポリアミドで1ケ所、それぞれポリアミド配列から予想されたDNA配列においてアルキル化が起きている事がわかった。次に6種類のヒトがん細胞及び1種類のマウスがん細胞に対して細胞毒性試験を行った。それぞれのがん細胞に対して異なる濃度のポリアミドを投与し2日間インキュベートした。そしてインキュベート後の生細胞数を蛍光プレートリーダーによるカウントを行い、50%のがん細胞増殖阻害濃度(IC50)を算出した。その結果、これらのアルキル化剤はがん細胞に対して臨床で使われている抗がん剤に匹敵する強い細胞増殖抑制能を持つ事が確認された。本研究は、1人1人のゲノム情報を元にした副作用の少ないテーラーメード抗がん剤の創製を目指しており、これまでのPy-Imポリアミドより前進した結果を示した。
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Research Products
(2 results)