2007 Fiscal Year Annual Research Report
瓦文化からみた近世アジア東部における考古学的・文献史学的多角研究
Project/Area Number |
07J03292
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 龍太 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アジア東部域 / 琉球 / 江戸 / ヴェトナム / 考古学 / 瓦 / 防火 / 文献史学 |
Research Abstract |
これまでの研究の中で未開拓であった瓦の建築材としてのあり方について、琉球王国近世における耐火建築材としての瓦を追及した。火災はしばしば甚大な被害をもたらし、為政者は地域・自家の安定した発展のために防火対策に乗り出す。防火は現代にも通じるテーマであり、時代・地域の個別性と共通性を検証出来る意義を持つといえる。先ず17〜19世紀を対象に、琉球王国における火災対策の変遷について、文献史料、民俗資料を主体をし検証した。結果、瓦の防火政策へめ採用な17世紀後半以降とだることが分かり、装飾材としての意味合いに加え防火材としての意味合いが時代が下るにつれ強まっそいくこと、余地、井戸、水甕、消防組織と共に防火に組み入れられていくことが分かった。さらに防災の観点に立ち、考古学的手法を用いで、琉球近世瓦の生産と供給を検証した。結果島毎に異なる瓦文化と瓦の位置付けがなされていることが分かり、琉球王国の物質文化の細分化現象を把握する端緒を得た。 上述の成果を基に、江戸、ヴェトナムの瓦文化を取り上げ、三者の瓦について考古学的・文献史学的毛法を用い、装飾材、耐火建築材としての性質に留意しつつ比較研究を行った。江戸の耳は琉球と同じく17世紀後半には既に防火対策に取り入れられていた。瓦当紋様が地域差を反映するという指摘があったが、葺き方にも地域差があることが分かり、さらに幕末以降には江戸において諸地域の瓦が混在する現象を把握することが出来た。ヴェトナムでは10世紀には中華的瓦文化と共にインド系とも言われる特異な扁平の瓦が存在しており、二つの瓦文化が同じ都市、同じ城郭内で混在する現象を把握することが出来た。一方で琉球、江戸では重視された耐火建築材としての側面は判然とせず、今後も継続した検討を要する。
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Research Products
(8 results)