2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03304
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野寺 栄治 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 学術研究員
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Keywords | 幾何解析 / 非線型分散型偏微分方程式 |
Research Abstract |
コンパクト概エルミート多様体上の曲線の運動が従うある空間1次元非線型3階分散型偏微分方程式の初期値問題の解法研究を行った.多様体が実2次元球面である場合,この方程式はある渦糸方程式を誘導束の断面の方程式として幾何学的に再定式化したものに相当する.本研究の目標は,この方程式の偏微分方程式(系)としての構造と多様体の幾何学的設定との関係の理解である.先行研究では多様体はケーラー多様体であることが仮定されていた.ケーラー条件は方程式が対称双曲系のように振る舞い古典的エネルギー法が機能するための十分条件である.一方,多様体のケーラー条件が破綻した場合,方程式の1階項の係数部分にある歪対称行列が現れ,古典的エネルギー法は機能しない.しかしながら本研究では「誘導束の断面に作用するゲージ変換を導入することにより,必ずしも多様体がケーラー多様体でなくとも初期値問題が一意可解となる」ことを証明した.即ち,1.(千原浩之准教授(東北大学)との共同研究)曲線の定義域が1次元平坦トーラスである場合,適当なソボレフ空間の枠組みで初期値問題の時間局所解の一意存在定理を与えた. 2.曲線の定義域が実数直線である場合,上と同様の解の存在定理を与えた. 証明のアイデアは,複素数値関数がみたす空間1次元3階線型分散型方程式の初期値問題の2乗可積分関数の枠組みでの適切性を特徴づけたTarama(1998),Mizuhara(2006)のゲージ変換の方法の応用である.実際,上述の歪対称行列が概複素構造の共変微分であるという特殊性とこの線型方程式の初期値問題が適切となるための1階項の係数に対するある十分条件との対応に着目し,線型方程式に対ずるゲージ変換を応用して誘導束の断面に作用するゲージ変換を実用化した.
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Research Products
(3 results)