2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03338
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
ウマルジャン アイサン Kyoto University, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 農村工業化 / 郷鎮企業 / 新疆 / 兵団 / 農業生産効率性 / 経営効率 |
Research Abstract |
中国沿海地域の農村で進められた郷鎮企業による農村工業化政策は、工業化で農村経済の活性化をもたらし、同時に就業機会を創出し農家所得を高め、かつ、農村の余剰労働力を吸収し、農業生産性の向上を達成し、結果として経済全般の発展もたらした。新疆の農村工業化について検討する際にも、中国全体の流れを意識して分析する必要がある。この問題意識から17年間のデータを用いて、新疆の地方と新疆生産建設兵団を比較し、農業生産の効率性とその要因分析を行った。この研究の意義は、前述の中国全体の流れを意識しつつ、新疆の農村工業化について検討できることにある。分析結果から(1)地方と比べ、兵団は組織的に統一な枠組み、政策、生産・経営・販売行動をとっており、農業発展が農村工業化を支え、農村工業化が農村余剰労働力を吸収し、農業生産性の向上、農民収入の増加につながり、結果的に経済全体の発展を促している。沿海地域の農村と比べ本格的な農村工業化の開始時期に遅れがあるが、発展過程は沿海地域の農村に似ている。さらに、(2)地方における農業生産の非効率性の原因を明らかにし、余剰労働力移動の可能性を指摘した。新疆に特有な経済発展条件、特に経済発展のボトルネックになりうる問題を指摘し、解決の糸口を見出した点で意義が大きいと考えられる。 私は2007年8月に昌吉市とコルラ市で企業の現地調査を行った。また、新疆統計局、郷鎮企業管理局、新疆工商管理局を訪問し、データ収集をした。現地調査をもとに、農村工業化の担い手となる郷鎮企業の生産性と効率性の要因分析を行った。異なる所有制企業の比較分析により、主に農村地区に位置する集団所有制企業の経営効率の問題点を検証し、沿海地区に比べ新疆民営企業はより厳しい資金制約に直面していることが明らかになった。本研究は今後進める新疆の農村工業化と関連する少数民族経営の企業研究に新たな視座をもたらすと考えられる。
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Research Products
(8 results)