2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03354
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永吉 希久子 Osaka University, 人間科学研究科, 特別研究員(DC)
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Keywords | 排外意識 / エスニシティ関係 / 多文化主義 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本人とエスニック・マイノリティの間の感情軋轢に注目し、軋轢が小さくなるような共存モデルを構築することにある。本年度は、日本人の外国人に対する「寛容性」を高める要因を、日本的な背景を加味したうえで明らかにすることを目的として、研究を行った。 研究手法としては、International Social Survey Program(ISSP)、および、Japan General Social Survey(JGSS)という大規模な質問紙調査データを用いた計量分析と、外国人支援活動を行っている人たちへの聞き取りを組み合わせ、寛容性を高める要因を複数の次元から調べた。 その結果、以下のような知見がえられた。国民の文化的同質性の強調は、西欧では文化的他者への同化の強調として現れるが、日本のような民族主義的国民観の強い国では、異なる文化の受容を促すものとして現れる。つまり、日本においては、文化的差異をもとにした分断と、文化的差異が溶解した状態での共存とを両極にした軸で、エスニシティ間の関係性が捉えられているのである。また、外国人支援活動を行っている人々は、異文化との出会いを求めて活動をはじめるが、活動を継続していく中で、困難を抱えた個人としての外国人に対する共感を活動の動機とするようになっていた。このことから、経済的・社会的な地位を対等にしようとする活動においては、エスニシティを超えた個人としての共存が理念として有効であるといえる。さらに、こうした能動的な活動だけではなく、学校や地域といった場での外国人と接することによっても、外国人受け入れに肯定的な態度は養われる一方、外国人を「未知の存在」として認識することは、排外意識を高める。したがって、外国人と日本人がともに活動する場を地域に作ること、そして、在日外国人についての情報の普及が、外国人との共存を考えるうえで重要となるといえる。
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Research Products
(2 results)