2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジフェニルメタン骨格を共通基盤とした核内受容体リガンドの構造展開
Project/Area Number |
07J03393
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細田 信之介 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジフェニルペンタン骨格 / ステロイド / エストロゲン受容体 / HMG-CoA還元酵素 / 医薬化学 / 核内受容体 |
Research Abstract |
我々はジフェニルメタン骨格が核内受容体に対するリガンド共通構造になりうると考え研究を展開した。各種核内受容体に対する構造活性相関の検討結果より、全ての場合について中央母核にジエチル基を有する「ジフェニルペンタン」(DPP)型誘導体が高活性を示したことから、本構造が核内受容体のリガンド共通構造として最適であると考えた。 本年度はエストロゲン受容体(ER)をターゲットとしたDPP型リガンドの創製を試みた。その結果、ビスフェノールAに比べ100倍以上強力なERα結合親和性を示すERアンタゴニストを創製した。またケイ素が4級炭素のバイオアイソスターであることに着目し、新たにケイ素を含有するジフェニルメタン型エストロゲンアンタゴニストの創製に成功した。ケイ素含有体は特許上の新規性が得られるほか、物性の改善につながる可能性があり、医薬品開発においてきわめて有用であると言える。 一方で、核内受容体の多くがステロイド誘導体を内因性リガンドとしていることから、DPP骨格はステロイド代替骨格としても機能すると考え、展開を行った。ステロイド骨格を持つオキシステロール類が、コレステロール産生の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素(HMGR)阻害作用を示すことに着目し、DPP骨格によってもHMGR阻害剤が創製できると考えた。最適化検討の結果、HMGR阻害活性を示す化合物が創出でき、DPP骨格が汎用性の高いテンプレートであることが示された。 以上の研究結果より、私はジフェニルメタン骨格、特にDPP骨格が核内受容体リガンドの共通構造として、更にはステロイド代替骨格として機能することが示された。ステロイド構造は重要な医薬品構造であり、本研究において確立されたDPP骨格に基づくリガンド創製手法は、医薬品リード化合物の効率的創出か実現しうる新たな創薬手法になりうることが期待される。
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Research Products
(3 results)