2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03417
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細川 浩之 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ATPase / 共役機構 / ATP合成酵素 |
Research Abstract |
ATP合成酵素(FoF_1)は、H^+の電気化学的ポテンシャル差と共役してADPと無機リン酸からATPを合成する酵素である。本酵素のFo部分におけるH^+輸送とF_1部分におけるATP合成・分解は互いに共役している。この共役には、α_3β_3δab_2サブユニットに対してγεc_<10>サブユニットが回転することが必須であることが知られている。しかし、共役機構について明らかにすべき点は多い。本研究ではFoF_1のATP分解に伴うサブユニット複合体の回転を介した共役機構を明らかにすることを目的としている。H^+輸送路であるFo部分(ab_2c_<10>)が存在しているFoF_1では、ATP合成・分解の触媒反応を行うF_1部分のみの回転とは異なる性質を持つ可能性がある。そこで、FoF_1の回転の性質を明らかにするため、金粒子をプローブとして回転を観察する系を構築した。F_1αサブユニットをガラス表面に固定し、Focサブユニットに金粒子を結合させATP分解に伴う回転を観察した。直径60nmから100nmの金粒子を用いたところ、回転速度は〜200rpsとほぼ同じだった。すなわち、プローブが無い時のFoF_1の回転速度に近い回転を観察する系を確立できた。F_1部分を用いた実験では、γサブユニットに結合した直径60nmの金粒子は〜370rpsで回転した。FoF_1cサブユニットの回転がF_1γサブユニットの回転よりも遅いことから、δ,εサブユニット、Fo(ab_2c_<10>)が回転速度に影響を与えることが考えられる。また、回転速度は刻々と変化しており、回転と停止を繰り返していた。すなわち、ミリ秒の分解能で見た場合には一部の分子のみが回転していることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)