2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03426
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 資教 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオントラップ / レーザ冷却 / 微量分析 / カルシウムイオン / 質量選別 / 同位体分析 / 量子跳躍 |
Research Abstract |
昨年度までにカルシウムの支配的な同位体である40Ca(存在比96.9%)をターゲットとした単一イオン観測システムの開発を行い分析に必要な分解能の確認を行ったので、今年度はイオントラップによる同位体選別機能の評価を行うことを目的とした。 まず存在比の少ない同位体から放出される蛍光を効率よく観測するために観測システムの改善を行い、単一イオンあたりの蛍光量が8kcpsとなり前年度よりもおよそ2.5倍に向上した。次に存在比の2番目に大きい44Ca(2.09%)をターゲットとしレーザ冷却で使用する遷移の同位体シフトを利用してトラップイオンの中から観測を行った。ここではまず既往の研究で報告されている選択的過熱・冷却法を適応し44Ca+の観測を行い支配的な同位体以外にもトラップされていることを確認した。さらに光共鳴イオン化による選択的なローディング法ではなくレーザアブレーションにより生成させたCa+イオンから直接44Ca+を観測するための手法の調査を行った。その結果、トラップされたカルシウムイオンからカルシウムの偶数同位体である42Ca(0.64%),44Ca(2.06%),48Ca(0.18%)の観測が可能となった。 次に線形イオントラップの質量選別機能を調査するために40Ca+,42Ca+,44Ca+,48Ca+に対してRF電圧およびDC電圧依存性の調査を行った。それぞれの同位体に対してトラップ不能となる閾値が存在することを確認した。またトラップ不能となる閾値電圧はトラップイオンの運動が記述されるMathieu方程式の安定領域内部に存在することが確認でき、トラップポテンシャルの非完全性によって生じる非線形共鳴現象が確認された。さらに各同位体の閾値電圧を利用することで線形イオントラップのハイパスおよびローパスフィルター機能を実現した。これにより着目同位体を選別し観測することが可能となった。 来年度の予定として、まずトラップされているイオンの同位体比を観測しローディングの効率にについて評価を行う。次に41Ca+を観測する前にまず奇数同位体の冷却を実現しなければならないので、48Ca+と存在比が同じオーダーである43Ca+をターゲットに装置の開発を行う予定である。また41Ca+は存在比が非常に少なく効率的にかつ選択的にイオン化させローディングする必要がある。そのためにCaの安定同位体で最も存在比の少ない46Caを効率的にイオン化させるための装置開発を行う予定である。
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Research Products
(4 results)