2007 Fiscal Year Annual Research Report
機能性キラルオニウム塩の分子設計に基づく実用的不斉合成法の開拓
Project/Area Number |
07J03446
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福本 和宏 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | α-ヒドロキシカルボニル / 相間移動触媒 / 不斉アルキル化 / アシルチアゾール / マイケル付加反応 |
Research Abstract |
α-ヒドロキシカルボニル化合物は天然に多く存在する部分骨格であり、天然物合成において重要な中間体となることが知られている。しかし、光学活性なα-ヒドロキシカルボニル化合物の合成法はこれまでのところ、光学分割か当量のキラル補助基を用いる方法が大部分を占めており、不斉触媒を用いた直接的な合成法は数例報告されているだけである。これまでに、ビナフチル構造を基本骨格とする相間移動触媒を用いたα-ヒドロキシカルボン酸誘導体の不斉アルキル化反応の開発に成功したが、基質一般性の限界などいくつかの問題を残していた。そこで、新たな反応基質としてα位にヒドロキシル基を有するアシルチアゾールを用いた不斉反応の開発に着手した。アシルチアゾールはカルボン酸やケトンなどの多様な官能基に容易に変換可能な合成中間体であり、そのエノラートを利用した相間移動条件下での不斉反応への展開は非常に興味のもたれる反応である。実際、そのような基質で相間移動条件下、不斉アルキル化反応を試みたところ良好な収率およびエナンチオ選択性で目的とするアルキル化体を得ることに成功した。さらに、このアシルチアゾールを用いた新たな炭素-炭素結合形成反応が行えないかと考え、新たにマイケル付加反応を試みた。相間移動条件下でのマイケル付加反応も、アルキル化反応と同じく高収率および高エナンチオ選択的に反応が進行することを見出した。また、アシルチアゾールを用いた他の炭素-炭素結合形成反応に適応すれば、様々なα-ヒドロキシカルボニル化合物の一般的な合成法となるので非常に有用な反応となる。
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Research Products
(4 results)