2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能性キラルオニウム塩の分子設計に基づく実用的不斉合成法の開拓
Project/Area Number |
07J03446
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福本 和宏 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヒドロキシカルボン酸 / 光学活性 / 相間移動触媒 / 不斉アルキル化 |
Research Abstract |
光学活性第三級αヒドロキシカルボン酸は、生理活性を有する複雑な天然物の構成単位として、またそれらを合成する上での重要なキラル素子あるいは中間体として高い付加価値を有する化合物群である。これらの化合物を合成するための既存の方法の多くは、光学分割によるものや、当量の不斉補助基を用いたジアステレオ選択的な反応であり、わずかに報告されている金属触媒を用いた不斉合成法も、実用面で解決すべき問題を残していた。そこで、近年注目されている相聞移動触媒を用いた反応により、光学活性第三級αヒドロキシカルボン酸の実用的な不斉合成法の開発に取り掛かった。相間移動条件下での不斉反応は、エノラートの発生を経て反応が進行するので、カルボニル基のα位の酸性度が高くなくては反応が進行せず、単純な第二級αヒドロキシカルボン酸誘導体ではエノラートが発生せず、合成は困難であった。そこで、基質の設計も含めたまったく新しい反応系の構築に取り掛かった。その結果、2つの新たな反応系を開発することに成功した。一つは基質としてαベンゾイロキシβケトエステルを用いたもので、もう一方はジオキソラン環を有するシリルアセチレンを用いたものである。どちらの基質を用いた反応も、得られるアルキル化体は、穏和な条件で容易に第三級αヒドロキシカルボン酸へと誘導することが可能であるこれまでにない新たな相関移動触媒を合成することで、どちらの反応も、高収率、高エナンチオ選択にアルキル化反応が進行した。この方法は、これまでは困難であった光学活性第三級αヒドロキシカルボン酸の実用的な合成法として高い付加価値を有する。
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Research Products
(3 results)