2007 Fiscal Year Annual Research Report
社会的相互作用場に於ける自律適応系の記号創発過程に関する構成論的研究
Project/Area Number |
07J03467
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷口 忠大 Kyoto University, 情報学研究科, 学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 社会的相互作用 / 模倣学習 / 他者意図推定 / モジュール型学習機構 / 行動創発 / コミュニケーション / 自律適応系 / 記号創発 |
Research Abstract |
今年度は社会的相互作用場に於ける記号創発の研究プロジェクトの第一年度として,主に(1)行動主体が他者と相互作用する中で他者の意図を見出す記号を発見的に獲得していくプロセス,及び(2)模倣学習主体が「何を学ぶか?」自体を獲得する為の学習機構をモデル化した.後者の研究については学術振興会の許可の下,情報通信研究機構に研修研究員として参画し共同で研究を行なった. (1)の研究内容としては,共同作業場に於ける記号創発として,二体のエージェントが一つの台車を押してゴールに向かうという例題に対して,サブゴールを決めるLeaderエージェントの意図をダイナミクスの変化を通してFollowerエージェントが推察することで明示的なコミュニケーション無しにゴールまで協調的に到達することが出来る事をしめした.Followerエージェントにモジュール型強化学習器のような適応機構を持たせることで,Followerの学習を通じた能動的な解釈が意味生成に寄与するという自律適応系にとっての新たなコミュニケーション描像が構成論的に描かれた.当研究についてSICE Annual Conference 2007 International Award Finalistを受賞した.(2)の研究内容としては,旧来の時系列モデリングの手法に加え,テキストマイニングの手法を用いることで,人間の幼児と異なり,現在のロボットは模倣学習を行なうにも連続的な他者の行動時系列に対し「何を真似すればよいのか?」を自ら決定することができないという問題を克服することが出来うる事を示した.これらの研究成果は自律適応型ロボットの工学的設計論として意義深いのみならず,入間の社会性を支える脳内の計算機構を理解する上でも意義深く,本研究課題の遂行を促進するものである.
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