2007 Fiscal Year Annual Research Report
対人間係の論理学:良好な対人関係を築くための思考様式と適応方略の検討
Project/Area Number |
07J03471
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 裕士 Osaka University, 大学院・人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 対人関係 / 社会関係論理 / ゲーム理論 |
Research Abstract |
本研究は、適応的な対人関係を営むための思考様式を明らかにすることを目的とした。特に、親密な関係性において、いかなる行動が「適切」と判断されるのかを分析の対象とした。 親密な他者に投資行動を行う上で、その成果よりも意図性が行動評価の判断に用いられることに注目し、数理的な考察と実証的な研究を行った。 ゲーム理論による分析によって、関係に所属する全成員の利得が向上する場合、それ以前の状況よりもよいと判断する「パレート原理」に基づいて人々が行動を評価するという仮説を提案した。具体的には、人々の利益が一致したい場合(葛藤状況)に、パレート効率性を高めるように葛藤状況を変換し、そのような変換を適切と判断することで葛藤を回避するということである。そして、関係が親密である場合には利他性が、そうでない場合には互恵性がパレート効率性を高めることが考察された。 実証研究では、親しい他者に投資行動をされる場面では「相手がコストを支払うこと」と「利他性の意図性が有ること」が評価に影響することを明らかにした。また、利他性の意図の効果は、関係が親密になるほど大きくなることが示され、仮説は支持された。 このことから、人々は葛藤状況を回避するための方略を、パレート原理に基づいた葛藤構造の変換によって行うこと、またその方略は関係性によって弁別されることが考察された。またこのような思考様式を社会関係論理(Socio-Logic)と呼んだ。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Scaling for family relationships based on socion theory by using a three-mode item response model2007
Author(s)
KOSUGI, K., SHIMIZU, H., FUJISAWA, T., ISHIMORI, M., WATANABE, F., & FUJISAWA, H.
Organizer
International meeting of psychometric society
Place of Presentation
Tokyo, Japan
Year and Date
2007-07-10
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