2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03498
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 憲一郎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 液体・液体転移 / 二秩序変数モデル / 小角X線散乱・誘電分光法 / 外場制御 / 緩和現象 |
Research Abstract |
液体,液体転移とは、単成分液体が別の液相に1次転移するという驚くべき現象で、液体の本質を示す現象として近年大きな注目を集めている。片山らによるリンの液体、液体相転移の発見をはじめ、これまでに様々な物質で転移を示す証拠が見つかっており、多くの液体に存在する普遍的現象と考えられる。しかし、それらの転移点が高温、高圧、もしくは結晶化に対する絶対不安定領域に存在するという困難な実験条件のため、実験事実を基にした本格的なアプローチは殆どなされていなかった。我々の研究グループは常温、常圧下に液体、液体転移が存在する亜リン酸トリフェニル(以下TPP)、n-butanolを発見し、これまでの先行研究から、液体中に存在する局所安定構造の協同的形成こそが液体、液体転移の起源であると考えている。しかし、局所安定構造の存在自体は自明ではなく、過渡的過程を含めた液体、液体転移の微視的描像は明らかにされていない。よって本研究では今まで用いることが困難であった多彩な実験手法を用いて、マクロな空間パターンと分子ダイナミクスの関係を理解し、液体、液体転移の微視的機構を解明することを主たる研究テーマとした。 我々は小角X線散乱や誘電分光法を用いて、静的、動的側面から液体、液体転移の微視的描像に迫った。本研究の結果、TPP,n-butanolという分子の形状や相互作用の異なる液体IIが、その微視的な動的構造に普遍性を持っていることを明らかにした。この事実は液体、液体転移の起源の解明に繋がるものと期待している。また、液体、液体転移における分子ダイナミクスに着目し、誘電緩和現象と相転移の空間パターンとの関係についても明らかにした。 さらに上記の研究と並行して、現在液体、液体転移のμmスケールでの空間制御を目指して研究を進めた。その結果、レーザー光による液体、液体転移の誘起、そして液晶の表面配向に用いるラビングが液体、液体転移に大きな影響を及ぼすことを発見した。我々の見出した外場効果は、液体・液体転移の空間制御に大きく寄与するものと考えられる。
|
Research Products
(1 results)