2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03498
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 憲一郎 The University of Tokyo, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 液体・液体転移 / 外場制御 / 光誘起 / 濡れ現象 / 表面効果 |
Research Abstract |
液体・液体転移とは、単一成分液体が別の液相に一次転移する現象であり、液体の本質に関わる現象として極めて重要である。しかし、それらの転移点が高温・高圧、もしくは結晶化に対する絶対不安定領域に存在するという困難な実験条件のため、実験事実を基にした本格的なアプローチは殆どなされていなかった。我々の研究グループは常温・常圧下に液体・液体転移が存在する亜リン酸トリフェニル(以下TPP)、n-butanolを発見し、昨年度はその微視的機構を中心に研究を進めてきた。この現象の基礎学術的な重要性もさることながら、二つの液相間で物理的・化学的性質(屈折率、誘電率、粘性、濡れ性、異種物質に対する相溶性など)が異なることから、液体の新たな物性制御法としても極めて重要であるといえる。そこで本年度は、表面効果やレーザー光を用いて、液体・液体転移を時間的・空間的に制御することを目的として研究を行った。そこで、初めにこの転移における濡れの影響について検証した。我々は液体IIの濡れ性を表面物質を選択することで制御し、今まで観察されなかった転移キネティクスを見出すことに成功した。更に、この液体IIの濡れ性に付随して、基板表面におけるメゾスコピックスケールでのモルフォロジーの変化が、この転移のキネティクスを時間的・空間的に大きく変更されることも見出した。また、レーザー光により発生する電歪効果を用いて液体・液体転移を誘起し、レーザー光の高い空間分解能を生かして、液体IIのマイクロメートルスケールでのパターン制御にも成功している。本研究テーマは、液体・液体転移を表面効果やレーザー光を用いて直接制御することにより、同じ物質でありながらその物性を時間的・空間的に大きく変えるという画期的な試みであり、基礎・応用の両面で極めて大きなインパクトがあると考えている。
|
Research Products
(6 results)