2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムを活性中心とする気体センサータンパク質の構造と機能の相関
Project/Area Number |
07J03507
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
澤井 仁美 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヘムタンパク質 / グロビン / 酸素センサー / 生物無機化学 / 共鳴ラマン法 / 構造機能解析 / 酵素 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヘムを活性中心とする気体センサータンパク質について『気体分子の感知によって生じたタンパク質の構造変化と機能制御には、どのような相関があるのか?』を明らかにすることである。本研究者は構造-機能解析に適した研究対象として、グロビンタンパク質と酵素が融合した新規なセンサータンパク質HemDGCを選んだ。そして世界で初めてHemDGCの単離精製に成功し、各種分光測定と酵素活性測定を行い、その構造と機能を解析した。その結果、グロビンドメインはヘムを含み、ヘム鉄に酸素分子が結合した時だけ酵素ドメインが活性化されることが明らかになった。またヘム鉄は酸素分子の代わりに一酸化炭素や一酸化窒素も結合できるが、それらの分子を結合した状態では酵素活性を全く示さなかった。したがってHemDGCは酸素分子を選択的に認識し、酸素分子の結合に応じて酵素活性を厳密に制御する『新規な酸素センサータンパク質』であることを明らかにした。更にHemDGCが酸素分子と他の小分子を識別する分子機構を明らかにするために、共鳴ラマン法によるヘム近傍構造解析と部位特異的変異体解析を行った。その結果、酸素結合型と他の小分子を結合した状態では、ヘム鉄に結合した気体分子とその周辺側鎖が形成する水素結合のネットワークが異なることを発見した。現在、酸素分子の結合後に生じるタンパク質全体の構造変化を詳細に検討するために、酸素結合型および他の小分子結合型のHemDGCについてX線結晶構造解析を進めている。
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