2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03513
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 良輔 Kyoto University, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | market microstructure / impact function / optimal exection |
Research Abstract |
有限回の取引機会のうちに大口の取引をしたい機関投資家と大勢の小口の投資家が相互作用するゲームモデルにおいて、ベンチマークとして機関投資家がリスク中立的である場合の均衡を求めた。毎期均等に執行するのが最適とする先行研究の結果に対し、より早い段階で多くの量の証券を執行するという結果を得た。次に、小口の個人投資家が戦略的に行動することが可能なモデルの分析を行った。機関投資家が全員リスク中立であるときには全員が最終期まで全く執行せず、リスク回避度が大きくなるにつれ、より早い段階でより多くの証券を執行しようとすることがわかった。流動投資家の行動が期末にかけ不活発になるようなパラメータの組の一部に関しては、機関投資家が、最終的には手持ちの証券を売り切ってしまわなければならないところ、早い段階では逆に買い注文を出し、後の期にまとめて売る、という行動をとるのである。これは、価格インパクト関数を外生的に与えて暗黙のうちに機関投資家の行動を一方向の取引のみに制限していた先行研究では見られなかった結果であり、現実の取引の一側面をより反映しているといってよいだろう。機関投資家の執行証券数が私的情報であるモデルの分析も行った。執行証券数を正確に知っているのは機関投資家本人だけで、他の市場参加者は確率的な分布のみを知っている状況である。このモデルの均衡における機関投資家の執行戦略はモデルのパラメータの値によって大きく異なる。取引時間中にはファンダメンタルズが変化せず、流動投資家の取引が比較的活発でないパラメータの組の場合、早い段階で大半の証券を執行しようとする。これは、例えば株価指数の構成銘柄入替のアナウンスの直後に新規採用証券の出来高が急増するといった実証究の結果と整合的である。
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Research Products
(1 results)