2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国の牧畜地域における住民の自然知識の多様化を考慮した放牧地共同管理制度の構築
Project/Area Number |
07J03559
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 哲由 Kyoto University, 地域研究統合情報センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地域研究 / 自然資源 / 共同管理 / 自然知識 / 中国 / 牧畜 / 山地 |
Research Abstract |
本年度は,中国とインドの2ヶ所で中期間の現地調査実施する予定であったが,中国国内でのチベット地域を巡る状況が急激に変化したため,7〜9月に予定していた青海省における調査を延期し,インド北西部のジャンムーカシミール州ラダック地域において12月と3月,のべ2ヶ月間の現地調査を実施した。ラダック地域の住民の多くはチベット系の言語を話す人びとであり,生活習慣や農業生産に関しても中国国内のチベット地域と共通する部分は多い。一方で,政治的な状況は大きく異なっており,中国国内のチベット地域では大きな影響を及ぼしてきた集団生産化などはおこなわれておらず,国家の政策の違いによる放牧地管理形態の違いを把握することが可能になると考えられる。 まず初めに広域調査をおこない,インダス川河岸地域を移動しながら,各支流の村落において生活や経済状況,周囲の生態環境やそこで営まれる農耕と牧畜に関する基礎的な情報に関して調査をおこなった。次に,具体的な状況を明らかにするためインダス川支流のドムカル渓谷を対象として詳細な調査をおこなった。同地域では渓谷に沿って村落が点在しているが,インダス川との接点である渓谷底部の村落から上部集落まではおよそ10km,標高差で1000mにも及ぶ。放牧地はおもに標高4000m以上に位置しており,それらは流域全体のコモンズとして管理されてきたが,近年は,商品経済の導入により生業構造や家族構成が変化しており,それに伴ってコモンズとしての放牧地管理のあり方も変化していた。本年度は,放牧地管理を把握するための基礎資料として,流域全体の悉皆世帯調査を実施して,家族構成や就業状況を把握するとともに,衛星画像とGPS端末を用いて村落の土地利用図を作成した。
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Research Products
(2 results)