2007 Fiscal Year Annual Research Report
染色体分離に関わる生体超分子複合体の構造生物学的研究
Project/Area Number |
07J03567
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有田 恭平 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メチル化DNA / X線結晶構造解析 / NMR / DNA結合タンパク質 / ゲノムインプリンティング / SRA domain |
Research Abstract |
本年度はマウスNp95のSET and Ring Associated(SRA)domainの構造生物学的研究を行った。Np95は染色体分離が行われる細胞分裂の進行に必須な因子であり、さまざまな腫瘍細胞において高いレベルで発現していることが報告されている。従ってNp95の機能-構造解析は腫瘍形成機構の解明につながる可能性があり、生物学的に重要なタンパク質である。本研究ではNp95に含まれるSRA domainに注目した。SRA domainはDNA複製後の新生鎖DNA中に存在するヘミメチルCpG配列を認識することが報告されている。Np95はSRA domainを介してヘミメチルCpG配列と結合し、維持型DNAメチルトランセフェラーゼであるDnmt1をヘミメチルCpG領域にリクルートすることによりゲノムDNA中のメチル化パターンの維持に関与している。SRA domainによるヘミメチルCpG DNA認識機構の解明を目指し、SRA domain単体、およびSRA-ヘミメチルCpG DNA複合体の立体構造をX線結晶構造解析法で決定し以下のことを明らかにした。 ・SRA domainはヘミメチルDNAと相互作用することにより2つの領域で構造変化を起こし、それらの領域がDNAとの相互作用に関与していた。 ・ヘミメチルDNA鎖中の5-メチルシトシンの認識機構を明らかにした。 ・NMR測定および、生化学的、物理化学的な手法を用いることによりSRA domainがヘミメチルDNAに特異的に結合することを明らかにした。 ・Np95からDnmt1へのヘミメチルCpG DNAの受け渡し機構モデルを提唱した。
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