2007 Fiscal Year Annual Research Report
AdS/CFT 対応を用いた超弦理論の非摂動論的理解
Project/Area Number |
07J03589
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西岡 辰磨 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超弦理論 / ゲージ理論 / 双対性 / 高次元重力理論 |
Research Abstract |
AdS/CFT 対応は超弦理論とゲージ理論の間の等価性を示唆しており、弦理論の非摂動論的性質をゲージ理論を用いることで解析できるという利点がある。近年、ゲージ理論において特殊な自発的対称性の破れ方が見つかった。本研究では AdS/CFT 対応から超弦理論においても同様の対称性の破れが見えるはずであると考え、超弦理論を詳細に解析することによってこれを確かめた。この結果は超弦理論において自発的に対称性が破れることを示す初めての例であり、新たな非摂動論的性質を明らかにしたものである。また AdS/CFT 対応に対する新たな証拠ともなっている。[JHEP 0709:012,2007]超弦理論は低エネルギーでは重力理論を含んでいる。ブラックホールにはその面積に比例したエントロピーが存在することが知られているが、その起源は重力理論の枠内では答えられない。特に零温度でもエントロピーを持つものもあり、これらの理解するには超弦理論を用いることが必要であると考えられる。超弦理論に現れるD-ブレーンを使うとある種のブラックホールを構成でき、その結果エントロピーを再現することに成功しているが、これらの手法で説明できるブラックホールは数少ない。本研究では AdS/CFT 対応を用いてその起源をエンタングルメントエントロピーという空間を二つに分けることで零温度でも定義できる物理量で説明できることを明らかにした。我々の用いた手法ではかなり一般的な零温度ブラックホールのエントロピーを説明することが出来、AdS/CFT 対応の有効性を物語っているといえる。[Phys.Rev.D77:064005,2008]
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Research Products
(4 results)