2008 Fiscal Year Annual Research Report
AdS/CFT対応を用いた超弦理論の非摂動論的理解
Project/Area Number |
07J03589
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西岡 辰磨 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 調弦理論 / ゲージ理論 / 双対性 / ブラックホール / 一般相対性理論 |
Research Abstract |
AdS/CFT対応は超弦理論とゲージ理論の間の等価性である。特にAdS4/CFT3対応はM2-braneのnear horizon極限を考え、重力とゲージ理論をdecoupleさせることで成立すると考えられている。複数枚のM2-brane上のゲージ理論の構成は困難で、長年に渡る問題であった。最近ABJM理論と呼ばれる複数枚のM2-brane上の3次元理論を記述すると思われるゲージ理論が提唱され、AdS4/CFT3対応の検証が可能になると期待される。我々はAdS5/CFT4対応の検証において重要な役割を果たしたPlane wave極限での解析をABJM理論とその双対な時空に施し検証を試みた。その結果、AdS5/CFT4対応の場合と異なりエネルギースペクトラムが一致しないことがわかった。これはPlane wave極限を取った時でさえゲージ理論と重力理論の双方で弱結合で記述できる範囲が重ならなかったためだと考えられる。[JHEP 0808:001,2008]最近Kerr/CFT対応と呼ばれる4次元extreme Kerr black holeと2次元CFTの間の双対性が提唱された。この対応はブラックホールのエントロピーが双対なCFTの統計的エントロピーとして微視的に理解できることを主張しており、実際の計算でもそれが確かめられている。我々はこの双対性がかなり一般のextreme black holeに対しても拡張できることを示し、任意のブラックホールエントロピーもやはり双対なCFTの微視的状態数で説明できることを提唱した。[arXiv:0811.4393,0902.1001]この一般的なブラックホールに対する予想はその後数多くの具体例によって検証、確認されている。
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